年収の壁・支援強化パッケージによる被扶養者の収入の取り扱いについて
令和5年9月27日に決定された「年収の壁・支援強化パッケージ」について、10月20日付け(12月25日追加・修正)で厚生労働省より具体的な事務手続きが示されました。
人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入増加である場合、被扶養者の年収が認定基準額を超過する場合でも、事業主の証明を提出し、健康保険組合が認める場合には、被扶養者として認定及び継続加入が可能になる仕組みです。一時的な収入増加とは、主に時間外(残業)手当や臨時的に支払われる繁忙期手当等が想定されます。
これはいわゆる年収の壁の当面の対応として一時的に導入するものであり、令和6年に予定されている次期年金制度改革に向けてさらに制度の見直しに取り込むこととされています。また、この措置は10月20日以降の被扶養者認定及び被扶養者の収入確認においてのみ適用され、発出日前の扶養認定及び被扶養者に係る確認については遡及しない取り扱いです。
<<人手不足による一時的な収入増加であると認められるケース>>
・当該事業所の他の従業員が休職・退職したことにより、当該労働者の業務量が増加したケース
・当該事業所における業務の受注が好調だったことにより、当該事業所全体の業務量が増加したケース
・突発的な大口案件により、当該事業所全体の業務量が増加したケース
※基本給が上がった場合や、恒常的な手当が新設された場合、労働契約における所定労働時間・日数が増加した場合など、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合においては、一時的な収入増加とは認められません。
※フリーランスや自営業者など特定の事業主と雇用関係にない場合は、この措置の対象外です。
<<事業主の証明書が必要となるとき>>
・新たに扶養認定を申請する際の収入証明が必要な期間において、一時的に基準収入を超えた時期があるとき
・被扶養者確認調査の際、健康保険組合から依頼があったとき(詳しくは調査時にご案内します)
※いすゞ健保仕様の『被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書』があります。厚労省が作成したものを使用された場合、他にも書類をお願いすることになり審査に時間がかかるため、いすゞ健保様式の書式の使用をお願いします。
『被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書』はコチラ
<<その他>>
・被保険者と被扶養者が同一世帯の場合、被扶養者の収入がこの一時的な収入変動により被保険者の収入の2分の1を超えた場合でも、被保険者の収入未満であれば被扶養者となることができます。
・連続2回(2年)までを上限とします。
・雇用契約書等で恒常的な収入が基準内であると確認できない場合は「一時的な収入変動」と認められず、適用にはなりません。