保険給付
保険給付とは
被保険者や被扶養者の病気、ケガ、出産、死亡に対し、健保組合は現物給付として医師の診療を提供したり、定められた各種の給付金を現金で支給したりします。このように、診療を提供することや、給付金を支給することを「保険給付」といいます。
- 通勤途上や仕事上の病気、ケガは労災保険扱いになります。
法定給付と付加給付
保険給付には、健康保険法で定められ、必ず給付しなければならない「法定給付」と、それぞれの組合が財政状態に応じて独自に定め、法定給付と一緒に支給する「付加給付」があります。
- いすゞ健保では国または自治体などから医療費助成がある場合には規約により付加給付は支給対象外となります。
健康保険で受けられる診療・受けられない診療
受けられる診療
- 診察・検査
- 医療処置、手術などの治療
- 薬や治療材料の支給
- 入院および看護(食事代は別途負担)
- 在宅診療および看護
受けられない診療
- 美容整形
- 正常分娩、経済上の理由による人工中絶
- 歯列矯正
- 健康診断、予防接種
- 仕事上のケガや病気、労災保険の対象になる場合
保険給付が制限されるとき
健保組合では、社会保険の公共的性格や健全な運営を阻害することのないよう、一定の条件のもとに給付の全部または一部について制限を行うことになっています。また、給付を行うことが事実上困難な場合や、他の医療保険制度から同様の給付が行われた場合の調整的な意味あいでの給付制限もあります。
具体的には、以下のようなときに保険給付の制限または調整が行われます。
- 故意に事故を起こしたとき
⇒ 保険給付は行われません。 - けんかや、酔って事故を起こしたとき
⇒ 保険給付の全部または一部が制限されます。 - 正当な理由がないのに医師の指示に従わなかったとき
⇒ 保険給付の一部が制限されます。 - 詐欺行為、その他不正に保険給付を受けたり、受けようとしたとき
⇒ 保険給付の全部または一部が制限されます。 - スピード違反、酔っぱらい運転など、重過失で事故を起こしたとき
⇒ 保険給付の全部または一部が制限されます。 - 健保組合が指示する診断や質問などを拒んだとき
⇒保険給付の全部または一部が制限されます。
なお、罰則的なものとは別に、保険給付を行うことが事実上不可能であったり、他の法令が優先するなどの理由により給付が制限されることもあります。たとえば以下のような場合です。
- 少年院に入院させられたり、監獄に拘禁されたりしたとき
- 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律など、他の法令により国または地方公共団体の負担で治療費が支給されるとき
保険給付の時効
保険給付の消滅時効は2年となっています。たとえば、被扶養者が出産した場合、当然、家族出産育児一時金などがもらえるはずですが、申請をせずに放っておいたまま2年が過ぎれば時効となり、権利がなくなってしまうのです。くれぐれもご注意ください。
保険給付に関する時効は次のとおりで、その日が過ぎると給付を受ける権利を失います。
- 傷病手当金、出産手当金は、就労不能になった日ごとにその翌日から2年
- 出産育児一時金、家族出産育児一時金は、出産した翌日から2年
- 埋葬料、家族埋葬料は、死亡した日の翌日から2年
- 療養費は、患者が代金を支払った日の翌日から2年
- 高額療養費は、診療月の翌月の1日(ただし診療費の自己負担分を診療月の翌月以降に支払ったときは、支払った日の翌日)から2年
保険給付に納得がいかないとき
健康保険組合から被保険者のみなさんにお渡しする給付金の金額や、その他の保険給付などについて、どうしても納得できない不審な点がある場合には、健康保険組合に申し出て詳細な説明を受けてください。
決定について不服がある場合は、通知を受け取った翌日から3ヶ月以内に、口頭または文書をもって各地方厚生(支)局の社会保険審査官に対して審査の請求ができることになっています。
それでもなお不服のある場合は、厚生労働省に設けられている社会保険審査会に再審査の請求をすることができます。この裁決にも不服の場合には、裁判所へ訴え、最終的な決定を受けられるようになっています。また、再審査請求を経ないで裁判所へ出訴することもできます。
このように、みなさんの被保険者としての権利の保護のために、審査請求の方法が法律で決められています。